六大。

早いものでもう五月。

朝晩寒くて昼暑い。

今月は一大イベントがある。否、六大イベントだ。

来る五月の二十日、ロンドン五輪ミドル級金メダリスト村田諒太のプロでの世界挑戦が決まった。これを観戦に行く。

当初、同日に名古屋で行われるWBO世界ライトフライ級チャンピオン田中恒成が16戦全勝全KOのプエルトリカンを挑戦者に迎える試合を観戦に行こうかと考えていた。相手選びの妙でその地位を保っているボクサーも少なくない中、田中は常に相手に強者を求める、ボクサーとして非常に真っ当な気概を持ったボクサーで、応援したくなる。その実力も名古屋のローカルチャンプでいるのは勿体無い力を有している。

そこで愛知県に住まう友に連絡をして、あわよくば一緒に観戦できればと思って相談すると、同日に東京で行われる村田の世界戦が観たい気持ちもあると言われ、そうか、それもいいな。確かに日本でミドル級の世界タイトルマッチが開催されるということ自体稀だし、挑戦する村田はオリンピック金メダリストという本物。決して記念挑戦ではなく、しっかりと勝算のある勝負。そんなことを考えていると、観ないと勿体無い気がしてくる。しかも滅多に会えぬ友と観戦できるとなると、楽しみはいや増す。

無理やり会社に有給休暇なるものを申請して、行くことにした。田中には申し訳ないが日が悪かった。俺は東京に行く。行ってこます。

そして、この村田の世界挑戦をメインに打たれる興行は他に二試合の世界タイトルマッチが挙行され、三大世界タイトルマッチ。

ここに愛知の友、はるばる北海道から観戦にくるという友、神奈川にいるお世話になっている先輩。普段は会えぬこの人たちと会えることもタイトルマッチ以上に楽しみで、自分的には三大世界タイトルマッチと併せて、六大ですわ。

ブラック企業に勤めおるゆえ、有給休暇も眉間にシワをよせ苦渋の表情で、軽めのイヤミを上司から言われた割に一日しか取得できず、日程はきつきつだけれど、ホテルの宿泊代がボッタくられてるんじゃないかってくらい箆棒に高いけれど、時間だ金だなんて俗なことはこの際思考の埒外、純粋に与えられた機会を楽しもう。

そう思うております。

気は早いが、楽しみだ。

不一。