ゆるいよ
水清ければ魚棲まずとかいう言葉があるように、あまりに品行方正、ルール遵守、正義感のかたまりみたいな人間に人は寄ってこない。
正しさの鎧に守られたその人には、ジョークも通じなければ、甘えも許されない。
ハンドルやブレーキに遊びがない。気が抜けない。
人は隙がない人を好きになりにくい。
隙にも個性があって、隙のない人間には人間味が感じられない。
いくら力んだところで、人間は完璧にはなり得ず、お互いの犯すミスを許し合いながら人間関係というものは熟していくのだと思う。
カリスマとか歴史に名を残すたくさんの人を従えた偉人なんかは、そら凡人を凌駕する何らかは持ち合わせていたんだろうけど、案外といい加減なところも、人としての弱さもあったんじゃないかな。あまりに完璧な人を人は助けようとは思わないんじゃないだろうか。
歴史的な偉人に会ったことはないから、勝手な妄想だけど。
「新解釈 三國志」2020年 日本
監督 福田雄一
親孝行で真面目、礼儀正しく義に厚く徳が高い。といった固いイメージの劉備像。
この作品の劉備はいい加減でヘタレ、文句ばかりで行動は遅い。いや劉備に限らず登場人物みんな従来の三國志のイメージよりゆるい。
乱世であるはずが、全体に平和な雰囲気。
コメディであるから殺伐とした世界観になりようはないけど、締まるところがなさすぎて、緩さばかりが印象的。