真夜中の白鳥

自分の思うように生きる。

自分が望む方向に進む。

と、綺麗事を言うたところで、実行することは簡単ではなくて、自分の思うように振る舞えば、それを面白く思わない人が出てきたり、想定外の結果に狼狽えたり。結果、方向も自分の思っていた向きではなくなってたりする。

過程を思うように生きて、結果にはしっかりと責任を持つ。というのが、思うように生きることの正解なのだろうけど、結果が思うようにならなければ、思うように生きられてないと考えてしまうのが人間。

思う場所に点が打てないものだから、それを線で繋いだとて、自分の思う方向には伸びていかない。

こんな筈ではなかったな。とまあ人生はなかなか上手くいかない。

上手くいかないけど、じゃあ不幸かと問われれば、そうでもない。ただ自分の思っていた幸せとは種類が違う気がする。不満か?いやそうでもない。ただ不可解なだけだ。

腑に落ちない。

しかしそれが当たり前だ。45年も生きてきて明日の天気すら情報番組やらネットなんかに頼らなければ分からないのに、思うように動いた結果なんて分かるわけないよな。不可解で当たり前、腑に落ちなくて当然。なんだか気持ち悪い。不可解が腑に落ちていかなくて、常に気持ち悪い。そしてそれが解消される日が来ないことに薄っすら気づいているから億劫だ。

それでも自分の思ったことをやる。今日を出発点に自分の望む方向に進む。

いつか振り返ると、また思いもよらない場所にいるんだろうけど。

 

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「ミッドナイトスワン」 2020年 日本

監督 内田英治

ニューハーフバー?パブ?スナック?クラブ?正式な呼び名が分からないけど、なんせお酒を飲みながら、ニューハーフのショーを楽しむ盛り場で夜な夜な踊るニューハーフと、妹の育児放棄により行くあてを無くしたバレエの才能ありまくり姪っ子との短くも濃密な日々の話。

砂浜で姪っ子がバレエを踊り、それを見えない目で見つめ涙を流す伯父?伯母?この際そんな疑問は自分でもげんなりするくらい野暮だな。心で深く繋がった二人の海のシーン、とても綺麗で悲しくて、あのシーンだけでもうこの映画観て良かったと思った。