老朽

コロナ禍がいつまで続くのか知らないが、世の中が停滞してかなりの時間が経つ。この間に疎遠になった人も沢山いる。たまに会って食事などに出かけ、近況など話す程度の知人とはさっぱり連絡を取らなくなった。

世の中がこんなだから誘うのにも気を遣う。特に子どもがいたり、奥さんも働いている家庭の人間だと尚更誘い難い。それは相手も同じか、自分と違いコロナを真摯に恐れて外出を控えているせいかは知らないが、誘われることも無くなった。

人間関係というのは、家屋などに似て、人が住まなくなれば何故だか一気に老朽化が進む。

何は無くとも同じ時間を同じ場所で過ごすことが、人間関係にはとても重要なんだと疎遠になっている人を思い泛かべて感じる。

会えば容易く思い出せるだろうその人と共有した時間のアレコレも、今はどこに仕舞い込んだものか、いっかな思い出せない。

なんだったら、コロナ落ち着いたらまた!なんて約束を誰としたかも記憶が朧げ。

少し会わぬうちにかくも人間関係というのは老朽化するものなんだな。

その程度の関係だったと片付けるのには、少し抵抗がある。

残りの人生を考えたとき、人間が苦手な自分が、これから一緒に食事など行こうかと思える人間に幾人出会えるか。そんなことを考えてしまう。

確かにそこに築いた何かは残っている。

でも今は誰も訪わない。古びて崩れかかっているけど、取り壊すには忍びない。

そんな関係が増えたよな。とか。

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ホテルローヤル」2020年 日本

監督 武正晴

辺鄙なところに建つラブホテル。

経営者、その家族、従業員、客、ホテルで垣間見るそれぞれの人生。人間模様。