終わるからこそ。

何を考えていたんだろう。
何故だかは分からないけど、自分もいつか死ぬということを全く失念していた。
周りからは、ここ数年、やれ肝硬変の疑いだの、糖尿病だ、心筋梗塞だと命に関わる可能性のある病気に罹患する同年代が頻出したり、
その闇の力を更に強めたブラック企業の中でも、黒い寄りのセクションに勤めているのに、何故か自分は死なないような、否、死ぬということそのことそのものが意識の埒外にあった。

それが、この間、友から貰ったメッセージの中にもう40過ぎていつ死んでもおかしくないみたいな文言があって、ハッとした。
そうだよ、死ぬんだよ。人である以上必ず死ぬんだよ。そして残りの人生で一番若いのは今で、死ぬ、その確率は日々微小とはいえ上がっていくんだ。

割りと大事なことなのに失念しておったな。忙しさにここまで思考が潰されていたのかと人の心が戻ってきた感じ、人心地。

死ぬことを思い出したことで、得られたひと呼吸は、焦りを呼ぶかと思いきや、連れきたのは意外なことに余裕。

いつかは終わる恐怖。裏を返せば、いつかは終わる安心。

折れかけた心に弾力。いつかは終わるなら、そこまで頑張ったろやないかい人生。

とはいえ、そのいつかは分からないから、これからも何度も折れるんだろうね心。

いつでも最終12ラウンドと思って生きるのが本当なんだろうけど、どうしても今まだ5,6ラウンドあたりと思って、今でこの疲弊具合なら、この後どうなるんだ、なんて考えてしまうあたりが、メンタルの弱さだ。

終わりがあるからいい。何事も。

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無限の住人」  2017年 日本 監督 三池崇史

斬られても何しても死なないお侍さんが主人公。

死ねないってのは大変だ。終わらない人生くらい絶望的なものはないかもしれない。

人間生きててなんぼなのだろうけど、ここまで行くと死んでなんぼ。

終わりがあるからこそ、大事に想う。

いつか終わることを知っているから、長生を願う。

そんなものかもなぁ。なんて。

着物ってのは短足となで肩を隠すからか、お侍さんの役のキムタクは格好良く見えるな。ただ怒ってないときの芝居するとき、もっと声張って欲しい。

不一。