僕には友だちが少ないが、その少ない友だちのうちでも30年来の付き合い、一番の古株にして会う頻度でいえば未だに一番の親友がどうも来年の春あたりに上京するかもしれないらしい。

寂しいことだが、彼の幸せを考えると良い選択だから応援しようと思う。

大阪にいてさえ爆弾級の個性を持った彼が、東京でどんな風に暮らすのか非常に楽しみだ。

しかし、四十代半ばの歳で良いとは言い難いが安定した仕事があり、買った家もあるのに、それらを擲ち、住むところを自ら変えるという決断力は凄い。

見習うべきかどうかは分からないが、その行動力には驚かされる。

人生は一度きり、やりたいことをやるべき。良く聞くし、そうだねと聞いたときは思うのだけど、いざ何事か決めるときには失念していて、一般的で常識的で無難な選択に落ち着いてしまう。

今回我が友がした選択が吉と出るか凶と出るかは分からないけど、人生は一度きりを体現したような選択に少なからず羨望を感じる。

どちらに転ぼうと彼はきっと笑っている。そういう男だ。だからこそ、この選択が出来たのだろう。やっぱり彼は面白い。今更ながら思う。

これから生まれるたくさんの笑い話を思うと、楽しみでしようがない。

 

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「グッバイ・リチャード」2018年 アメリ

監督 ウェイン・ロバーツ

病により余命宣告を受けた大学教授が、残りの人生を好き勝手に生きる。

友の思い、家族の思い、教え子たちとの時間。

死にゆく彼を見つめるそれぞれの目。

めちゃくちゃ良い友だちが登場人物にいて、彼との友情譚としての印象が強い。

友を見ればその人がわかる。とかいうが、主人公の自暴自棄で放埒な理解に苦しむ行動も、彼という素晴らしい友がいるという事実がはちゃめちゃを中和していた。

持つべきものは友。との言葉が良く分かる作品。