罪悪感

この歳まで生きてくると、頭は禿げてくるし、病気知らずで唯一自信のあった健康も、花粉症を発症し鼻水が止まらず、たださえ足りない集中力を激しく阻害してくるし、勤め先は二年後に無くなる可能性がかなりあるらしいし、なんだかこの先生きていても良いことなんて一つもないんじゃないかと思えてくる。

しかしよくよく考えてみれば、非才凡庸な自分がこの歳まで生きてこられたのは、かなりラッキーだ。今の状況を悲観するのは我儘である。

楽しいことが無い。なんてのはただの甘えで、どんな状況も楽しむ、生きてることがすでにして幸運なのだから、そこで起きる全ては幸運の副産物。良いことに決まってる。だから楽しむ。そんなことを思って日々をやり過ごすが、モチベーションの上がらぬ仕事、衰える身体、停滞する世の中、マスクだらけの街中、鬱々した気持ちに少なくない時間なっているのも事実。酒にでも逃げようかと弱気を起こすが、ほぼ下戸、酒が弱過ぎて逃げるほど飲めない。

たまに酔っ払って記憶を飛ばしたなんて話を聞くと、アホだなと思いつつ羨ましい気持ちも少し。しかし、記憶を飛ばすほど酩酊しているときは、まともな行動言動をしていない可能性が高く、後々大きなツケを払わされることになりそうだ。問題から逃げたくて、記憶を飛ばし、記憶のない間にまた別の問題が出来てしまっている。これは恐ろしいな。絵に描いたような負のループだ。

酒の失敗談というのはよく耳にするが、成功談はあまり聞かない。

でもほどほどに飲む人は、友だちも多く楽しそうだ。なんでもほどほどにってことなんだろう。好かない言葉だけど、やっぱり何事もほどほどってことなんだろう。

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「酔うと化け物になる父がつらい」

2020年 日本 監督 片桐健滋

酒で人生が良くない方に進んでいる自覚があり、罪悪感を覚えながらも、酒がやめられない男を家長に持つ家族の話。

明るく悲しい。

罪悪感がありながら、やめられないこと、沢山あるよ。他人事じゃない。

不一。